
「相続が始まったけれど、どの財産が相続の対象になるのかわからない」
「生命保険や年金は相続財産に含まれるの?」
このようなお悩みはありませんか?
相続手続きを進める上で、「どの財産が相続財産に該当するか」「相続財産に含まれないものは何か」を正しく理解することはとても重要です。
本記事では、相続財産の種類や、相続の対象になるもの・ならないものについてわかりやすく解説します。
■ 相続財産とは?【基本の定義】
相続財産とは、亡くなった方(被相続人)が死亡時点で持っていた財産のうち、相続人に引き継がれるものをいいます。
現金や不動産といった「プラスの財産」だけでなく、借金などの「マイナスの財産」も相続の対象です。
■ 相続財産に該当するもの(相続の対象となる財産)
以下は、一般的に相続財産として扱われる主な財産です。
プラスの財産(積極財産)
- 現金、預貯金(銀行口座)
- 土地・建物などの不動産
- 株式、投資信託、仮想通貨などの有価証券
- 自動車
- 宝石・美術品などの動産
- 貸付金、売掛金(他人に貸していたお金)
マイナスの財産(消極財産)
- 借金(金融機関からの借入れや個人間の借金)
- 未払いの税金、医療費、公共料金
- 保証債務(連帯保証人としての責任)
👉 これらはすべて相続財産として承継の対象となります。
プラスだけでなくマイナスの財産も相続される点に注意が必要です。
■ 相続財産に含まれないもの(相続の対象とならない財産)
相続財産には該当しない=相続の対象外となる財産も存在します。以下のようなものは、相続人が当然に取得するか、またはそもそも相続できない権利とされています。
生命保険金・死亡退職金(受取人指定がある場合)
- 生命保険金(受取人が「妻」や「子」と指定されている場合)は受取人固有の財産であり、相続財産には含まれません。
- 死亡退職金も、会社の規定により遺族が受け取る場合は、相続財産ではなく「遺族の固有財産」とされます。
年金受給権などの一身専属権
- 老齢年金、障害年金などは被相続人の死亡により消滅し、相続の対象にはなりません。
※ただし、死亡前に発生していた未支給年金は例外的に相続財産に含まれることがあります。
その他
- 生活保護受給権
- 労働契約上の地位
- 個人にのみ認められる使用権や身分に関する権利(例:扶養請求権)
■ 注意すべき相続財産のケース
● 名義預金・名義株
被相続人が子や配偶者名義で保有していた預金や株式でも、実質的に管理・運用していたのが被相続人であれば、相続財産として扱われる可能性があります。
● 保険金の受取人が「本人(被相続人)」の場合
この場合は、保険金請求権が相続財産として相続人に承継されます。
● 夫婦の共有財産(共働き口座など)
形式上は夫婦共有でも、実態として誰の収入・管理下にあったかによって、持分割合の確認が必要です。
■ 相続財産に該当するもの・しないものまとめ【早見表】
種類 | 具体例 | 相続財産か? |
預貯金、不動産 | 銀行口座、土地・建物 | ○ 相続される |
借金・ローン | 住宅ローン、借入金 | ○ 相続される |
保険金(受取人が妻) | 生命保険金 | × 相続されない |
年金受給権 | 老齢年金・障害年金 | × 相続されない |
名義預金 | 子の名義だが実際は親のお金 | ○ 相続財産になる可能性 |
退職金 | 支給対象が「遺族」 | × 相続財産でない場合あり |